授業で紹介した本

この文章は,授業のページに参考文献として挙げたものである。
そのまま転載する。(今回は+αはなし。残念!)

授業中に「常微分方程式の解の存在と一意性」の定理を用いたが,
証明に関しては,一切触れず,ポントリャーギンの本を挙げておいた。

それをここでもう一度取り上げようと思っていたが,
手元にない(図書館にはある) ので,別の本をここでは紹介する。
この本も図書館にはある。

スメール,ハーシュ,力学系入門,岩波書店,1976年
タイトルからは微分方程式の本であるとは思いもよらないかもしれない。
本屋に行くと,物理の棚に置かれていることがあるが,れっきとした数学の本である。

授業中にも少し触れたが,自然現象は多くの場合,微分方程式で表現され,
それを解くことができれば,その現象に関してさらに詳しく調べたり,
その現象をコントロールしたりすることができるようになる。
たとえば,日食は,どこそこで,何年の何月何日の何時何分から何時何分まで,と
詳しく報道されるが,これなどは天体の運動に関する微分方程式を解くことによって可能となる。
実際には,関数の形まできっちりとわかることは少ないが,
微分方程式をもとにして,コンピュータを使い,数値的に計算をするというようなことが,
なされている。
たとえば天気予報など,気体の変化などを記述する微分方程式があるが,
それはきちんと解くことができないので,コンピュータが駆使されている。
その中で,連立線形微分方程式系についてはかなり綺麗な理論ができている。
この本ではニュートンの運動方程式からはじまり,
線形代数で学習するジョルダン標準形を駆使して,それが解説される。
最後の数章ではそれらを電気回路などへ応用してみせる。
タイトルである「力学系」というのは,このように物理学,特に力学的な現象を
扱っているからであり,こういったテーマを研究する分野がある。

この本の改訂版として著者にデバネーが加わったものがある。
共立出版から2007年に出ているが,こちらはデバネーの専門である『カオス』
という現象に重点が置かれている。
いずれも良い本だが,もし読むなら,よくテーマを選んでほしい。

ちなみに「カオス」は20世紀後半くらいからかなり研究されてきているが,
まだまだわからないことの多い,最先端の話題ではある。
力学系ではそういった現象が自然に現れ,
考察の対象とすることになるのである。

授業で触れた「解の存在と一意性」については,こういった話の流れのなかで
証明されている。
スメールは5次元以上のポアンカレ予想を解いた。フィールズ賞を受賞している。

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