「オフィスアワー2」の「クリフォード代数」にも書いたが,
この1か月ほどクリフォード代数のことを勉強している。
これがどんなものなのか,
大雑把ではあるが紹介しよう。
高校でベクトルというものを学習するが,これは
向きと大きさをもつ量
つまり矢印として導入される。
その後,ベクトルを数の組,つまり成分表示を与えることで数と同じように計算できることが示され,
さらには一般のベクトル空間の理論へと発展する。
また,2つのベクトル空間を結びつける
線型写像
の概念が導入され,それと行列とが対応付けられる。
つまりベクトルと行列の理論が大学で学習する
線形代数
の大きなテーマ。
で,向きと大きさをもつ量であるベクトルの概念を一般化することはできないか,
とクリフォードは考えたという。
そのためにベクトルの概念をもう少し詳しく分析しよう。
始めに書いたように高校でベクトルは,向きと大きさをもつ
1次元的な幾何学図形
である「矢印」として導入された。
この「1次元的な幾何学図形」というところを,高次元化する。
では,どういうふうに?
たとえば,平行でない2つのベクトル \(\overrightarrow{a}\) と \(\overrightarrow{b}\) を考えると,
これらを2辺とする平行四辺形が得られる。
これに「向き」の概念を定義して,
向きと大きさをもつ2次元的な幾何学図形
と考え,これを 2-ベクトル と呼ぶことにする。
同様にして,同一平面内にない3つのベクトル \(\overrightarrow{a}, \overrightarrow{b}, \overrightarrow{c}\) からできる平行六面体に「向き」を定義して,
向きと大きさをもつ3次元的な幾何学図形
と考え, 3-ベクトル と呼ぶ。
で,こういったものからなる集合に加法とスカラー倍を考えて,いくつかの性質を満たすものを
クリフォード代数
というのである。(Hestenes 先生は Geometric Algebra と呼んでいるので,
以下では私もそれに倣うことにする。)
ベクトルやベクトル空間の考え方は幾何学や物理で非常に役に立つ。
これと同様に Geometric Algebra も有用なものだという。
どのように有用なのか,興味深い。
そんなわけで少しずつ勉強しているので,追々ここで紹介してこうと思う。