【思い出話】Dieudonne, Foundations of Modern Analysis

大学2年のときの専門外国語という授業がありました。
英語の先生によるものではなく,
数学なら数学,物理なら物理の先生が担当する外書購読の授業でした。

で,多くの先生が読み物風の文章を教材にしましたが,
S先生は表題の,
 Dieudonne, Foundations of Modern Analysis,Academic Press, 1960
を使われたのでした。

そんなこともあってか,学部の数学以外の学生も多く登録していたはずなのですが,
2回目に来たのは20数人ほど。
いずれも数学科の学生ばかりでした。

で,1回目に誰が最初にレポートするか,の担当ぎめがありましたが,
今でもそうですが,誰もなかなか手をあげようとしませんでした。
そんなときにはおっちょこちょいの私はすぐに手を挙げることが多いようです。
このときもそうで,トップバッターは私が務めることになり,
2回目の授業で訳を話し始めました。

すると先生から
「君,何をやっているんですか?
訳はいいから何が書いてあるのか説明しなさい」
とさっそくのツッコミがありました。

授業では第5章の Normed Spaces から読み始めたのですが,
第1節 Normed spaces and Banach spaces は


In this and the following chapters, when we speak of a
vector space,
we always mean a vector space (of finite or infinite dimension)
over the field of real numbers
or over the field of complex numbers
(such a space being respectively called
real and complex vector space);

という文章から始まります。

文章自体はなんともなく,自分自身春休みに線形代数の復習をしていたので,
「ベクトル空間なんてへっちゃらだい」
というつもりでいたのですが,先生から
「ベクトル空間の定義は?」
とまっすぐに聞かれ,すぐに答えることができず,黒板の前で立ち往生することとなりました。

春休みの復習を思い出しながら,しどろもどろで何とかクリアしましたが,
いかに自分の理解が浅いかを徹底して示されるとともに,
高校のときに感じた
「説明することで理解が深まる」
ということを再び実感しました。

こんなわけで1回目の発表は散々でした。

で,同級生とかたらって,サブゼミと呼ばれるS先生の授業対策の時間を作りました。
思えばこれがゼミという形で同級生と勉強していく最初のことでした。

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